【急成長!ベンチャー企業の財務経理の立ち上げ Vol.3】

お疲れ様です。コラムをご覧いただき、ありがとうございます。

紬マネージメント株式会社の代表 河村一と申します。

このコラムは、会社経営のあるある 困りごとの知恵袋と題しまして、経営のヒントや私が日常生活の中で素直に感じたことを、必要な方にお届けするコラムとなります。宜しくお願い申し上げます。

今回は私が経験した、ベンチャー企業であった事をシリーズでお届けします。

前回に続くお話になります。

多くのベンチャー企業の悩みの一つでもある売上規模は増加するが、社内のインフラ整備が追い付かず、特にバックヤードの事務的作業は手作業頼りに進み、非常に効率が悪い状態で物事を進めていかなくてはいけないという事態に現場は苦しんでいました。当時、私たちがよく言っていた言葉は『選択と集中』というキーワードです。資金も潤沢にあるわけでもない、人材も豊富に在籍するわけでもない、設備投資(バックヤードシステム)を導入するほどの資金計画も立てにくい(借り入れできるなら売上増加の目的で施設を増やしたり、施設の修繕費に充てたいという優先順位がある)このような状態の中で、私たち現場の人間は限られた自分たちの『時間』を有効に使う事が最も大事な事だと、段々と気が付いていきます。

まず着手したのは、私と部下の役割分担を明確にすることから始まります。日中の営業時間内は請求書発行に対する業務の一切を部下に任せて、私は半年分の試算表の入力作成に注力するという事です。貸し会議室の利用ルールで請求書到着後、三日以内の入金手続きをお客様にアナウンスしていたため、直近の申し込みに関しては、急ぎ請求書をお送りしなくてはいけませんでした。そのため私と部下の2人掛かりで発行業務をしていましたが、これでは試算表の入力まで回りません。このような状態に至るには大きな原因があります。

それは、長年にわたり財務経理の現場をマネジメントできる人材がいなかった為、組織的に財務経理の役割を組み立て、『現場を回す』という仕組み作りが全くない状態が続いた事でした。そこで、その現状を打開するためにパートさんの募集を即時に行い、人員を2名増加しました。

ホントにしっかりしたパートさん達に恵まれて請求書の滞留はほどなくして、完全に改善されました。経費面から言えば、2名の増員で人件費も増加するわけですが、コストメリットは絶大です。

おかげさまでそこから4か月で半年分の試算表未入力の状態も改善され、部門別の売上もわかるようになり、金融機関などから試算表を求められても即座に対応できるまでに改善されました。何より、会社の現状がリアルタイムにわかる状態になった事が一番大きい成果です。

会社経営は『現場』と『数字』の両建てをみて判断していくものです。経営は『センス』や『感性』といった無形の才能が、その会社の発展や源になることは間違いないのですが、その結果が『数字』として表れるのです。会社が個人商店から組織になり、それ以上に大きくなる時期には必ず、『経営管理』ができる状況にしていく事も経営者の重要な役目なのですね。『数字』をもとに経営する事と『現場』の状況を把握することは、経営者にとって最も重要な役割の一つではないでしょうか?

私にとって、この財務経理の立ち上げはスキルを磨くと同時に、ただ単に経理の担当者として会社に関わるのではなく、経営者としての第一歩を踏み出した貴重な経験となっています。

本日もありがとうございました。

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この記事を書いた人

長く企業の財務経理の現場に携わる中で、数字こそ経営状況が表れると切実に感じております。数字と密に接してきた経験を活かし、数字を通して会社の状況を的確に判断し、解決策を講じられると思っております。

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